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袴田さん事件58年 なぜ死刑囚にされたのか

 「自供をあてにしたら捜査は進まない、という新しい時代だった」

 1966年に起きたみそ会社専務一家殺害事件の捜査に加わった元警察官の80代男性はそう語る。静岡県警は当時、最先端の科学鑑定の結果を重視していた、という。

 背景には、批判を浴びた冤罪(えんざい)事件があった。

批判を浴びていた県警

 「幸浦事件」「二俣事件」「小島事件」。48~50年に発生し県内の地名がついた三つの強盗殺人事件で、素行不良などから怪しいとされた容疑者らが「自白」し、一審や二審では死刑や無期懲役の判決に。だが、自白は暴行で引き出された疑いが残るなどとして、63年までに全員が無罪となった。

 二俣事件では、現役警察官が…

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